ペスト 黒死病(Black Death)


ペストは1346年頃から1350年にかけて全ヨーロッパを襲った。東洋に発生し、商船に乗る蚤やネズミによって運ばれ、病人の咳やタンや衣服について広まった。地中海からイタリア半島に上陸し、フランス全土に及び、スペイン、ドイツを襲い、北欧へと伝わっていった。医学も発達しておらず、町の衛生状態も良くなかった為、人や空気や土を媒体として病気は広まる。病人は家に閉じこめ戸口に釘を打ちつけて隔離したり、死者のでた家は焼き払い、時には瀕死の病人もろとも家を焼いてしまうこともあったという。原因も解らぬまま、身分階級を問わずこの死の手からは逃れることができなかった。ヨーロッパの人口の3分の1の人がその犠牲となったといわれる。実に3人に1人の人が亡くなっているわけだ。ペストには腺ペスト、肺ペスト、皮膚ペストがあり、高熱がでて全身悪寒に襲われ、意識がもうろうとして呼吸困難に至り、確実に死への道をたどる。ペストにかかると皮膚は鉛色や黒い色に変わり、そのために黒死病と呼ばれた。病気の治療法を突き止めようとフランス国王はパリや、モンペリエの大学に研究を依頼したが、原因は掴めず、ユダヤ人が毒を入れたからという噂が流れ、南フランスやライン川沿岸ではユダヤ人の迫害もあったという。49年頃から自然に衰退していったが、19cパスツールが細菌による伝染病を発見するまで、原因不明の病気として人々に恐れられてきた。