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■鐘楼 (斜塔) Campanile -
Torre Pendente -
1174年に工事は着工された。イタリアの建築家で伝記作家でもあるヴァザーリは建築家列伝に次のように書いている「その工事はドイツ人と思われるグリエルモなる人物と彫刻家ボナンノによって始められた。しかし、ピサで建物を建てることに慣れていなかった建築家は、本来必要な土台の杭打ち作業をしなかった為に、工事がまだ半分も進まないうちに土台が一方に傾いてしまった」辛口なヴァザーリはまた「この鐘塔が賞賛されているのはそれが優れた設計や美しい様式を備えているからではなく、単にその風変わりな姿のためであり、それを見る者にはそれがどんな仕方で立ち続けているのか分からないからである」とも述べている。
ピサはアルノ川が運んできた土砂の上にあるため地盤が大変弱く、この塔は1185年に第3層(10mの高さ)まで出来上がった時に地盤沈下のためにすでに傾き始め、工事は一時中断された。1275年建築家ジョヴァンニ・ディ・シモーネにより再開され1350年に完成。傾斜によるずれを少しでも修正しようと途中から北側にかしませて立てるという努力が見られる。
塔は白大理石を用いた円筒形で、重さ14453トン、外周の直径は17mにおよび、高さは北側で54.8m南側で55.65m、南へ向かって4m50(5度30分)傾いている。塔の南側の地盤沈下は2.4mにおよぶ。一番下の部分は開口部のないアーチ(ブラインド・アーケード)が並び、菱形模様で飾られている。この様式はピサ独特のものである。そこから上にはドゥオーモの後陣(斜塔側)の装飾にならい、かろやかで優美な細身の円柱による回廊が6層取り巻いている。塔の内部は重心をできるだけ内側に落とすよう工夫がされ、直径7.7mの空洞となっている。最上階の鐘釣場にはひとまわり小さな回廊がのっている。
以前は294段の螺旋階段で上まで上ることができたが、倒壊の危機が懸念され1990年から禁止されている。(それは、外観を損ねないためか、柵などもなく、上に上るほど傾斜を強く感じ、上っているのに下っているようで、平衡感覚がおかしくなるという、スリルのある登頂だった)
ガリレオ・ガリレイが上から落下の実験を行ったことでも有名。現在その倒壊を防ぐべく、各国の科学者が共同で救護策を検討している。ヴァザーリではないが、真っ直ぐにしてしまってはその価値がなくなるし、金属製の覆いをかぶせたり、つっかえ棒をするのでは美観を損ねるし、難しい問題である。
■ドゥオーモ広場 Piazza
del Duomo
カンポ・ディ・ミラコリ<奇跡の広場>という別名で呼ばれ、ピサのロマネスク建築を代表する建物がここに集まっている。またドゥオーモ広場はフィレンツェ、サン・ジミニャーノ、シエナ、ヴェネツィアなどと並び、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。(イタリアには1997年現在17の世界文化遺産が登録されている。
グリーンのじゅうたんを敷き詰めたような芝生に白大理石で作られた、ドゥオーモ(1063-1118)、鐘楼(1174-1350)、洗礼堂(1152-14世紀)、カンポサント(1277-1464)が建つ。作られた時代はそれぞれ違うが、同じ色彩と様式をもち、素晴らしい建築複合体を作り出している。
イタリアロマネスク建築
ロマネスク建築はカロリング帝国の分裂後ノルマン、スラブ、アラブ民族など蛮族の進入による混乱でヨーロッパがもっとも悲惨な時代を乗り越えた後に開花した、11世紀ヨーロッパのキリスト教建築である。9世紀後半から10世紀前半において荒廃した町や村を復興させ、破壊された教会を再建させようという建築家達の意気込みがその原動力となっている。フランス、ブルゴーニュ地方のクリュニー修道院に代表されるように、バジリカ式建築を基本とし、平面的、立体的な空間構成を発展させた建築で、古代ローマの建築でよく見られる半円アーチや円柱アーチを用いたためにロマネスクという名が付いた。
イタリアロマネスクは初期キリスト教の簡素なバジリカ式建築を頑なに守っている。高さへの憧れと多塔構想を好んだ北方ゲルマンのロマネスクや王や貴族などの私設礼拝堂を内陣や聖歌隊席の周りに作ったり、周歩廊(後陣を囲むように半円状に回る部分)によって複雑に変化させた後陣部分を持つフランスのロマネスクとは異質のものである。12世紀には地方ごとに、南フランスのプロヴァンス地方とノルマンの影響を受けた建築様式が発展する。 |
ピサ様式
ピサにおけるロマネスク建築はイタリアの北部から中部にかけて広く普及したロンバルディア様式から大きな影響を受けている。さらにピサ様式は装飾においてオリエント式の影響を受けており、ビザンチンのモザイク(大聖堂内部)、イスラムの尖塔アーチ(大聖堂円蓋)などが見られる。ロンバルディア様式の小アーケードやロマネスクの特徴といえる古代ローマの列柱などの各種建築要素とうまく融合させた、ピサ独特な様式である。
その特徴としては、大聖堂ファサードに見られるように何段にも重なった小アーケードや円柱、斜塔の最下段部のアーチ部分に見られるような菱形模様の装飾などがあげられる。
このピサ様式はピサの他に近隣の町、ルッカやピサの影響が大きかったサルディーニャなどに見られる。 |
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